9話9ページ
9話9ページが描き終わったので諸々書き出し。
原稿
ネーム
ネームは最初のネームから大きな変化はなくて、コマ内でのキャラや背景の画角調整くらいだった。以下、気になった点。
ネーム:流れ
ネームをなんとなく描いているんだけど、思ったよりしっくり来るんでなんでなのか言語化してみる。
まず、1~2コマ目は男の子と女生徒を対比の関係にしたかったから同じ大きさの横並びのコマ。そして、2コマ目の男の子の顔は見せないことで女生徒の言葉への反応を先延ばし。また、カメラアングルも女生徒視点でのアングルにすることで「女生徒が話している(主役)」というニュアンスを乗っけたかったんだと思う。3コマ目では、女生徒が立ち去るという状況説明。4コマ目では、「話が終わった」というニュアンスを伝える目的で関係のないアリさんにフォーカス。このコマ(4コマ目)には、視覚的に流れを変える目的があるんだと思う。そして、その視覚的変化を5コマ目の下を向く男の子が拾って、6コマ目を引きの構図(フェードアウト)にすることで「お話終了」ってニュアンスを出そうとしているのだと思う。
ネーム:最後のコマ
ただ、最後の6コマ目は不完全燃焼。と言うのも、元々のネームの6コマ目には校門が映ってた。校門の外から男の子を映すことで女生徒が立ち去って誰もいないという視覚情報を伝えたかったんだと思う。けど、前のページで校門から少し離れた位置に男の子を描いてしまったのもあって、辻褄が合わないから校門を映せなかった。だから不完全燃焼。
ネームの方で(無意識ながらも)考えているんだから、その辺を含め下描きで汲み取っておきたいと思った。
ネーム:落ちない
今回の話は他の話と比べるとオチと言うオチがない。今までは、キャラクターの掛け合いでオチを作るからセリフなどがあって視覚的にオチがわかりやすかった。今回はそれがないので、4~6コマ目で「お終いですよー」って空気感を作ったわけなんだけど、ふと「アップのコマだとオチとして落ちないなぁ…」って思った。なんか、アップのコマだと「まだ続くんかなぁ?」って感じちゃう気がするんだよね。なんでそう感じるかって考えるとアップのコマだと状況がわからないからなんだと思う。だから、「これでお終い」という状況を視覚的に伝えるために引きの構図にしているのかなぁってふと思った。
実際、今回のネームでも最後のコマで校門を映して「女生徒が立ち去りましたよー、誰もいないですよー」って情報を伝えようとしていた。つまり、最後のコマには情報が伝わるような引きの構図が入って気がちなのかなぁって思う。
下描き
下描き周りで気になったこと。
下描き:1コマ目
女生徒が少し顔を傾けて話をしているコマなんだけど、首の付け方で悩んだ。また、目を閉じているんだけど違和感を感じた。これは、キャラクターで最も重要なパーツが「目」であって、その「目」を閉じているということで、女生徒を「女生徒」だと視認するのが難しくなっているからなんだと思う。言い換えると「女生徒を上手く描けていない(下手)」という話で、キャラクターの造形の粗さが目を閉じているということで露骨に現れた違和感何じゃないかって思う。
下描き:2コマ目
前回、男の子の髪の毛が常時デフォルメ状態じゃね?って日記を描いたので、今回はしっかりリアリティを出すために髪の毛の立体感を意識してみたんだけど、線が多いいかもしれん。でも、最初だし後々改善すればいいかなぁということで放置。
下描き:3コマ目
3コマ目はどこからどこまでをコマ内に収めるか悩んだ。と言うのも、ネームの状態では女生徒が立ち去るのが伝わればよかったから男の子と女生徒の上半身だけをコマ内に収めて下半身が見切れるようなコマだったんだけど、上半身だけだと「女子生徒が立ち去る」という状況を上手く視覚的に伝えられなかったから全身が収まるように修正した。また、上半身だけを収める場合は、校門外の街並みを少し描いた方が良いと感じた。これは、「これから校門外に出ますよー」って視覚的な情報を伝えるために必要だった。けど、校門外は絶賛工事中で描きたくなかったから、全身を映し校門までの道を描写することで、「これから校門外に出ますよー」って情報を伝えることにした。
って感じで悩んだ末に全身を映すことになったわけだけど、女生徒が立ち去る時の体の動きをどう描けばいいかわからなくて苦戦した。特に足は正面後ろからだと動きが少なくて苦しんだ。
下描き:4コマ目
4コマ目は特になし。アリさん初めて描いたし、ペン入れで諸々修正すればいいやって感じでペン入れに丸投げ。
下描き:5コマ目
男の子が煽りの構図で下を見ているコマなんだけど、煽りの構図は相変わらず難しいわ。しかも、斜めに傾いているから余計に難しかった。特に斜めで描いていると反転しても顔の歪みが見つけ辛いのね。なので、まずは普通に描いてから斜めにした。
また、このコマもネームから少し弄った。最初は下を向いている男の子を斜め正面かつ少し引きの構図だったんだけど、なんか違和感があったんだよね。と言うのも、男の子の視線が斜め下を向くと、視線誘導のニュアンスが入ってしまうことでの違和感。5コマ目は右下のコマで下にコマは無いので誘導する必要がない。なので、今の正面かつ斜めに傾けるコマにした。そしたら、前のコマでアリさんに視線を落としている導線を自然に回収する事が出来たし、なんかいい感じに視線を流せるような感じのコマになった。とは言え、絵が下手くそでそっちの違和感はどうにもならなかった。
その他下描き:強弱
下描きの調整をしていると線が太くなったり濃くなったりする部分ができたりするんだけど、そうなると反転で歪みチェックがし辛い感覚があった。これは、太い部分や濃い部分が重さを持ってしまい目立つということで、全体のバランスを見ることができなくなったからなのかなぁって思う。なので、下描きの段階ではバランスを見れるように、太くなったり濃くなることは極力避けた方がいいんじゃないかって思った。
その他下描き:髪の毛
今回、男の子の髪の毛に立体感を出してリアリティを出したが、「こんな毛束無くね?」ってリアリティを出しているはずなのにデフォルメ感があるのが気になった。でも、スーパーサイヤ人とかも有り得ない毛束しているわけで、デフォルメにもグラデーションがあって、そのデフォルメの階層ごとに適したリアリティがあるのかなぁって考えると納得なのかなぁって思った。
ペン入れ
ペン入れ周りで気になったこと。
ペン入れ:1コマ目
前回「余白に注目した方がいい」って書いたのもあってか、1コマ目のペン入れは以前と異なるような感じがあった。線を丁寧に引いたことで余白をしっかりと確保できたからか、キャラクターの解像度が上がった感覚があった。ただ、余白管理という点ではしっくり来るんだけど、キャラクターとしては違和感を感じた。なんか輪郭が余計に強調されて、それは僕の理想とするキャラクターの輪郭ではないって感じの違和感。
あと、キャラクターをキャラクターと認識し辛い感じがあった。これは下描きでも描いたように、目を閉じていることが原因なんだと思う。ただ、解決方法もある。例えば、髪の毛にハイライトを入れたりして、髪の毛の解像度を上げることで「髪の毛があるということはその下にあるのは顔だな」って感じでキャラクターを認識させることはできるんだと思う。
ただ、なんか違うんだよなぁ…。この辺はキャラクターの描き方周りの問題なので後で考える。
ペン入れ:2コマ目
最初ペン入れした時「これはきちぃかなぁ…」って思った。というのも、髪の毛をぎっしりとかき過ぎて髪の毛に余白が無いという意味できちぃって話。下描きでも感じてたことだけど、ペン入れするとよりきちぃわ。次から下描きで余白を確保するなど気を付けようと思う。
ペン入れ:3コマ目
3コマ目は、背景周りを気を付けた。前回、レンガ調の床を横線だけで表現したら雑っぽさが出たので、今回はちゃんとレンガの模様を描き入れてみた。なので、床に関しては規則的な模様があるからかいい感じになった。ただ、校門もレンガを使うことを考えていて、校門までレンガにしてしまうと違和感を感じそうだなぁということで、校門は無地にした。この辺もちゃんと考えないと駄目だなぁって思った。
また、木のペン入れをしていて違和感を感じた。というのも、木の情報量が多いい気がする(木だけに…)。これは線が多いいことで起きていると思うから、余計な線を削除、もしくは線に規則性を持たせて余白を確保することである程度解消できるんじゃないかって思う。
ペン入れ:4コマ目
4コマ目に関しては単純な画力の問題だわ。このコマでは話の流れをガラッと変えるのが目的だったから、もっとリアルに描きたかったね。まぁ、画力が低くて描けないんですけどね。特に、アリさん。初めて描いたんだけど、なんかゴキブリに見える。一人暮らしでよく見たちっさいゴキブリ。この辺はデッサン力なんすかねー。
ペン入れ:5コマ目
イメージとしてはしっくり来るんけど、煽りの描き方がダメっすわ。これも単純な画力と、キャラクターデザイン何だろうなぁって感じ。あと、このコマでは女生徒からの発言に対して「反応してんだか反応していないんだか」って感じの微妙なニュアンスを出したかったから、トーンで影を付けたりしたんだけど上手く表現できなかった。勉強が必要っすね。
ペン入れ:6コマ目
このコマでも、リアリティを出したかったんだけど単純な画力が無くて駄目でしたわ。トーンで影とか付けたかったんだけど上手くいかんわ。でも、方向性は合っていると思うから画力上げれば何とかなると思う。
また、ここで出したかったニュアンスとしては、「このコマがオチですよ。ここでお終いですよ」ってニュアンス。それを伝えるために、絵のリアリティで表現しようとしていたみたい。実際、一枚絵的なのをイメージしていたわけだけど、一枚絵なんて描いたこと無いもんなぁ。これも勉強っすね。
ペン入れ:総評
今回のページは他のページと比べて難しく感じた。理由としては、4コマ以降の絵の重要性が高かったからなんだと思う。と言うのも、いつもであれば人物のやり取りでオチをつけていて、セリフを読ませるから絵の重要性はそこまでではなかった。けど、今回のページはその人物のやり取りがなく、セリフがないため視線が絵に流れてしまい、その視線に耐えられるだけの絵を描こうとしたから難しくなったのかなぁって思う。
確かに、セリフが無かったら絵に視線は流れるもんなぁ。そこで、見るに耐えられない絵は描けないよねって思う。
その他
その他思ったことや感じたこと。
その他:リアルとデフォルメ
4コマ目はリアルに描いても良いなぁって思った。と言うのも、4コマ目はアリさんと背景だけで人物が入ってこないからリアルに描いても良いんじゃね?って思ったわけなんだけど、なんで人物が入ってくると背景をリアルに描いちゃ駄目なのかが気になった。多分、リアルに描くとなると線の量が増えるからで、そうなると人物じゃなくて背景の方に視線が流れてしまう可能性があるからなんだと思う。そして、漫画は背景で読ませるのではなく人物やセリフを読んでいくものだから、背景に凝って人物に視線が流れ辛くなるのは避けたい側面がある。だから、人物がいるコマではリアル描かないで、人物がいないコマではリアルに描いても良いって感じたのかなぁって思う。
終わりに
なっげぇわ!〇すぞ!
元々は、もっと長かったんだけど9話の総評の日記に回すことにした。無理だわ。
で、描き終わった感想なんだけど、漫画を描けば描くほど言語化できるものが増えて書くことが増えてまとめるのが大変になっているわ。9ページは特に色々と気になる点が多くて大変だった。また、下描きとペン入れで同じようなことが気になっていたりするので、次からは1コマごとにネーム・下描き・ペン入れをまとめた方がいいのかもしれない。そうしたらもう少し短くまとまるんじゃないかって思う。
とりあえず、9話書き終わって荷が降りたんだけど、次からはキャラクター周りと全体的な漫画的な表現周りに着手しようと考えていて、こっちはこっちで凄い重いから今まさに「うわー」ってなってる。とりあえず、少しづつ進めることにする。