日記

9.5話の総評

9.5話が描き終わたので、全体を通して諸々気になったことの書き出し。

9.5話の目的

9.5話の目的としてはいくつかある。まずは、背景のフリーハンドのテスト。僕は抽象的な印象を与える漫画を目指していて、そのために極力フリーハンドで描きたいと考えている。9.5話はおまけ的な側面が強いのとページ数が少ないので、試すにはうってつけだと思いフリーハンドでの背景を試してみた。

次に、漫画的な表現を試す目的。これは漫画っぽい表現を練習することと、一応この漫画のジャンルは少女漫画なので少女漫画特有の自由なコマ使いの練習をする目的があった。

最後に、キャラクターデザイン。これに関しては主人公とかのキャラデザが固まっていないので、色々と試行錯誤をしてある程度固める目的があった。

他にも、細々とした目的があったけど、大きな目的としてはこの3つの目的があった。

ネーム

9.5話は文字通り9話と10話の間の話。話としては、9話で放置された主人公のその後を描く目的と、10話冒頭に繋げるための話。また、おまけ漫画(読まなくても本編には影響がない漫画)を想定していたので、3ページ未満にまとめることを意識した。

ネーム:意図

今回、ネームを描く上で意識したこととしては、1ページ目で状況を説明し、2ページ目で話の展開をし、3ページ目でオチを付くよう意識した。

コマ割りで意識したこととしては、1ページ目は今まで通りのコマ割り、2ページ目で漫画的な表現を取り入れた自由なコマ割りを試し、3ページ目では今までとは違う余裕のあるコマ割りをするなど工夫をし、色々と試せるようにした。

ネーム:ストーリー展開

ストーリー展開は少し悩んだ。というのも、オチとしては「主人公が男の子(彼氏)の存在を思い出し、退散する。」がオチなのだが、そこまでの過程をどのように作成するかで悩んだ。

最初は、たまたま通りかかった先生や体育館で練習する他の生徒を絡めて話を展開することを考えたが、それをするとどうしても3ページに収まらなかった。なので、主人公が他のキャラクターと絡まずに独り言を言いながら展開をさせる今の形に落ち着いた。

ネーム:上手く行かなかった理由

なぜ収まらなかったを考えると、主人公と会話をすると他のキャラクターにもスポットライトが当たり、読み手が主人公以外の「他のキャラクター」も意識するようになってしまい、主人公にもオチが必要なように、そのキャラクターにもオチを用意する必要があったからみたい。

そして、これは人間の本能なんじゃないかと思う。というのも、会話をしなければ「個」ではなく「群」として人を認識するが、一度でも会話をしてしまうとその人を「群」ではなく「個」として認識してしまう。そうなると無視をするわけにはいかないわけで、キチンと会話をしオチを付ける必要がある。そういう、日常生活でも起きていることが漫画でも起きたという話なんだと思う。

なので、主人公以外のキャラには会話させないようにしたり、テキストを置かないようにして、「個」として認識させない対処方法をとった。(これ、描いてて思ったが結構的を射ている気がする。)

ネーム:色々と考えている

また、登場させる主人公以外のキャラクターもしっかり考えた。今回、別クラスの生徒を登場させているのは、9話で高梨という女生徒に言わせた「体育館の使用許可」の伏線を回収するため。というのも、別クラスの生徒が出てくれば「別クラスの生徒も利用するから使用許可を取る必要があるよね。だって、バスケットゴールやコートの数には限りがあるから。」という点が視覚的に説明(補足)できると思ったから。だから、他のクラスの生徒を出そうと思った。

とは言え、クリティカルな問題ではない(だって、別クラスの生徒かどうかは視覚的にわからないし、説明していないわけだし)。クリティカルな理由としては、男の子(彼氏)の存在を主人公が思い出す上で他のキャラの髪型から連想させようと思っていて、使い捨てのキャラクター(べたなしの白髪キャラ)を用意したかったんだけど、別クラスの生徒であれば使い勝手がよかったんだよね。もう二度と出さなくても問題ないわけだし。

その辺の絡みもあって、別クラスの生徒を出すことに決めた。まぁ、結果的にストーリーでも使えそうな良い感じのキャラクターができちゃったんすけどね。

下描き

下描きに関しては、最初「作画スピード」を意識した下描きを描こうと思っていたから3ページまとめて下描きしようと思ってたんだよね。けど、なんか上手く行かなかった。というのも、上にも書いた通り各ページごとに役割や目的があって、それらの課題が思ったより重くて上手く行かなかった。なので、個々に集中して対応するために1ページずつ下描きすることになった。

けど、キャラクターデザインを固めるために、主人公だけは先行して3ページ分描いた。なので、本格的に下描きを開始する前に主人公だけが映るコマは下描きが終わってた。そして、それをしたことでキャラクターデザインに少し明るくなり、モブキャラなどの作画にも影響を与え、全体的なキャラクターの精度が上がっていると思う。

ペン入れ

ペン入れに関しても、個々のページごとの日記で書いてるので特に描くことないが、3ページを描き終わってもう少し引きの視点で描いた方が良いんじゃないかとは思った。というのも、僕は漫画を描く時にコマにズームして描くけど、読み手はズームではなくズームアウト(引き)で見るわけで、視点は合わせた方がより良いモノが作れるんじゃないかって思う。なんというか、コマ単位じゃなくてページ単位で見ることをもっと意識した方が良い。

総評

3ページ描き終わって、設定した課題が達成できたかどうか。

総評:背景のフリーハンド

フリーハンドに関しては3ページで試したけど、あまり気にならないかなぁって感じた。下描きの段階で定規使って描いたり、連続性が重要な床の模様は定規で描いているのもあるからかもしれないけど、フリーハンドだから駄目みたいに感じることや違和感は特になかった。なので、フリーハンドで背景を描くのは引き続き試してみようと思う。

あと、フリーハンドが良いと感じる理由もわかった。それは表現の幅ができるからフリーハンドが良いんだと思う。というのも、フリーハンドって綺麗に描くこともできるし汚く描くこともできるわけで、綺麗に描くが0~100だとすると、汚く描くのであれば-100~0。どちらもできるフリーハンドであれば「±200の幅がある」って感じで表現に幅を持たせられるからフリーハンドが良いんだと思った。

総評:漫画的な表現

漫画的な表現は、主に2ページ目と3ページ目(主人公が驚いている顔)で試したが、結構良い感じで表現出来た気がする。だから、全体的に漫画っぽくなっているんじゃないかと思う。

総評:キャラデザ

個人的に一番の懸念点はキャラデザだった。というのも、キャラデザ考えたことが無いんだよね。漫画を描きながら調整しているから徐々に改善はしているんだけど、面と向かって対応したことが無いので劇的に改善することがない。けど、人体の描き方を勉強したりしているのもあって、人体が上手くなるのにキャラデザが足を引っ張っている感じがあったので今回向き合ってみた。

で、最初に主人公のキャラデザをなんとかしようと、すべてのページの主人公だけが映っているコマを下描きしてみて気づいたことがある。それは、「目」が重要だということ。というのも、キャラクターを見る時に「目」がどこにあるのか?って探している気がするんだよね。そして、9.5話以前の僕のキャラクターの描き方ってアイライン(上瞼と下瞼)が平行で左右が吹き抜けになっていたりして、目の余白を上手く確保できておらず「どこからどこまでが目?」って感じで困惑するような感じがあった。なので、目の余白をしっかり確保するために、アイラインに曲線を入れて目の余白をしっかり確保し、「ここからここまでが目ですよ」って明示するなど、「目」に注意をして描くことを心掛けたら全体的なキャラデザのクオリティが上がったような感じを受けた。もちろん、それ以外の要因もあるのだとは思うんだけど、「目」を意識したことで目に見えて改善した感覚があったので、「目」が一番重要なんじゃないかと思う。

また、モブキャラも適当に描いてたんだけど、今回キャラデザを気を付けたことでそれっぽいキャラを描けるようになった。特に、髪の毛の表現方法で色々と試せたりと、キャラデザ周りでの収穫が多かったと感じる。

総評:背景

漫画的な表現やキャラクターなどで良いと感じる一方。背景周りで気になることが多かった。まず、陰影が少ないことで背景がのっぺりとしている印象を受けた。また、背景を背景と認識するフローが気になった。これは、3ページ目最後のコマで特に感じた。というのも、何をもって「芝」と認識するのか?「木」と認識するのか?という具合に、人間の認識能力がどのように働くのか?という点で色々と感じることが多かった。この辺は10話の方でたくさん背景を描く機会がありそうなので、そこで試そうと思う。

総評:こだわりが強い

9.5話を描いてて頻繁に思ったことがある。それは、こだわりが強い(理想が高い)ということ。それ自体は良い事のように感じるんだけど、読者的にはどうでもいい気がするんだよね。僕は納得するモノを描きたいと漫画を描いているが、読者はそれを別に求めていないというズレを感じ気になった。

ただ、仕事をしていてもそうなんだけど、客は金を払う都合、適当なモノに金を払いたいとは思わないと思うんだよね。例えば、100万円で漫画を描いてくださいと言われて、「できました!ただ、なんとなく描いたから説明はできません!」って言われて、金払いたいか?って考えると気持ちよくは払えないと思う。なので、キチンと客に説明できるように言語化しながらやった結果、こだわりが出てしまったという話で、僕のやっていることは仕事をする上でベストを尽くそうとしているということなんだと思う。けど、「良いものを作れば納品が遅れてもいい」というわけではないわけで、僕が引っかかっているのはこの部分なんだと思う。(読者からすると早く続きが読みたいもんなぁ…)

とは言え、リリースまでに時間がかかり過ぎるのは仕方がないのかなぁとは思う。それは、言語化をしながらやっているからで、言語化には時間がかかる。また、時間がかかるから今みたいに時間がある内にしかできないわけで、仮に連載が決まりましたってなってからでは言語化の時間が取れない可能性があるのだから、今のうちに言語化しておくのは正しい選択なんだと思う。だから、この悩みはこだわりを持って作業をしている結果、納期に間に合わずリリース日がドンドン後ろにズレているけどどう思う?って話で、それに関しては来年やる予定だから、来年考えれば良いのかなぁって思う。

終わり

以上かな。

感想としては、9話以降は勉強したり考えながら描いているからか、描けば描くほど良くはなっていると感じる。9.5話も例に漏れず良くなっていると感じる。そして、今回の話を描き終わりアップロードしたら、今まで無風のコメント欄に「ええやん」というコメントが付いたんだよね。僕も「ええやん」って思っていたから、伝えたい意図がキチンと伝わっているのかなという点で良かったと思った。

これに関しては、ちょっと長くなりそうなので別の日記で書くかなぁ。とりあえず、9.5話は「ええやん」ってコメントをしたくなる程度のクオリティをしているという事が分かったのは良かった。

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