10話3ページ目ネーム
なんか腑に落ちなかったので書き出し。
腑に落ちなかったネーム
ネームが腑に落ちない
3ページ目の下描きをやっていてネームがバチクソ腑に落ちなくてビビってる。なので、なんでかを言語化してみる。
流れに違和感
まず、気になったのが3コマ目以降の流れ。3コマ目で満面の笑みを浮かべる男の子に対して「直視できない」という描写をすることで主人公と男の子の間に「誤解がある」ことを視覚的に表現して、4コマ目で「誤解」をテキストで伝えようと思ったんだけど流れが急過ぎるって感じる。
だから、2~3コマ目の間(3コマ目の右横)にクッション的なコマを置いて急過ぎると感じないように工夫をしたりしたんだけど、その追加したコマが3コマ目の構図を逆にしたような構図で(追加コマ→3コマ目への)カメラワークの変化量が多すぎて違和感を感じたりと根本の問題解決にはならなかった。
表現の違和感
また、3コマ目は彼氏彼女という誤解を突き付けられて「現実を直視できない」って意味合いと、2コマ目で満面の笑みを浮かべる男の子が視覚的に輝いているように描写をする(流れ的に自然)という2つの側面から良いと思っているのだが、そもそもの構成が間違っているんじゃないかって思った。
なんで構成が間違っているかというと、男の子が発光する以外の表現をいくら試しても根本的な違和感を払拭できなかったから。例えば、2コマ目で「彼氏」という言葉を強調しているから主人公の頭頂部に「彼氏」という言葉(文字)が物理的にのしかかる表現や吹き出しが主人公の胸に突き刺さるような(漫画的な)表現でも発光と同じくらい腑に落ちる。けど、いくら表現方法を変えても違和感が消えないんだよね。だから根本的な構成が違うんじゃないかって思った。
違和感の正体
で、何度も試行錯誤を繰り返した結果、ページ内に「状況説明」をするコマがない事に気づいた。というのも、このページのネームには状況を説明できるコマが存在しないんだよね。例えば背景。言い換えると、「前のページ(2ページ目)の続きである」ことを指し示すコマがこのネームには1つもない。これが違和感の原因っぽい。
状況を説明するコマが無い
状況説明をするコマが無いって考えると、問題は1~2コマ目なんじゃないかって思う。というのも、漫画を描く時って無意識にページの最初のコマに状況(前のページの流れ)がわかるようなコマが入ってくることが多いい気がするんだよね。例えば、背景ありのコマや前のページのアクションを引き継いだアクションシーンのコマ。それらがページの先頭に入ってくる。
本来であれば最初に状況説明をするコマを入れるべきなのに、無意識が故に主人公と男の子のアップから始めてしまったことで「(無意識に)状況説明をした」体で3コマ目以降を描いてしまった。がしかし、状況説明はできていない。そういった認識のズレによる違和感だとすると、3コマ目以降の問題ではなく1~2コマ目の問題なんじゃないかって思う。
対策
とはいえ、1~2コマ目に関しては弄りたくない。なので、3コマ目に「状況説明」をするコマを入れることにした。ふと思いついたのが2人を煽りの構図で横から撮った絵。2ページ目最後のコマをローアングルで撮った絵を3コマ目に差し込むことで「このページは2ページ目の続きですよー」ということを視覚的に説明できるんじゃないかって思った。そしてしっくり来た。
なので、今回のネームに対する違和感というのはコマの流れや表現ではなく、状況を説明するコマがない事による違和感だったんだと思う。
修正
とりあえず修正した。1コマ目と2コマ目はそのままだけど、3コマ目は上に書いた通りに状況を説明するコマを入れた。また、最後のコマの前に小さいコマを入れて最後のコマへの流れを作ってみた。
1コマ目と2コマ目への違和感
今思い返すと、1コマ目と2コマ目に関してはずっと違和感を感じていた。ただ、絵が下手とかキャラデザが決まっていないって感じで別の問題だと思ってたし、1~2コマ目は「2ページ目の続きですよ」って伝える上では自然な流れだと思っている。そして、3コマ目の急な流れの方が気になっていたから問題視できなかった。
なので気づけなかった。なんか問題が目の前ではなく、視野の外にあるような感じだった。
状況説明の重要性
書いていて状況説明ってそんなに重要なのかなぁ?って感じた。と言うのも、web連載されている作品って背景真っ白でどこにいるのかわからない作品結構あるんだよね。けど、読んでてそんなに気にならなかったりする。だからそこまで重要か?って感じる。
が、しかし。それら作品は状況説明(背景)が無いけど、キャラクターはきちんと描けているんだよね。キャラクターがしっかりしているからページを跨いだとしても「こいつら誰?」みたいに迷子になることはない。だから背景が無くても普通に読めるんじゃないかって思う。
僕の場合は、キャラクターデザインが決まっていないのもあって、僕自身「これとこれは同一人物なのか?」って疑心暗鬼になる。更に、背景が無いと「ここはどこで、こいつらは誰?」って迷子どころか記憶喪失になるから、状況説明をすることで「ここはどこで、こいつとこいつは同一人物!」って説明が必要なんだと思う。要するに、キャラクターデザインが決まっていないことによる問題も大きいんだと思う。
許容
漫画を描いていると腑に落ちないことってちょくちょくあるんだけど、許せるものと許せないものがある。で、今回の違和感は許せないタイプの違和感だった。だから原因を追求したんだけど、何を基準に判断しているのかが気になった。
基準としては、コマ内の問題かコマ外に影響を与える問題なのかなんじゃないかって思った。というのも、今回のネームの違和感ってコマ内の問題じゃなくてページとしての問題なんだよね。影響範囲が広かったから許容できなかった。逆に、コマ内のキャラクターや背景の描き方がしっくりこないとかはコマ内で完結する違和感だし、「それ」とわかるのであればコマ外に影響は無いから許容できる。そういう基準があるんだって気づいた。
なので、今回みたいに許容ができないって感じた時。それはコマ外に影響を与えているわけだから、視野を広く持って原因を探そうと思った。
終わりに
マジでこのページは悩んだ。ストーリー全体的な流れとしては問題ないはずだし、視覚的表現としては合理性があるから、本当に何が問題なのかがわからなかった。けど、ページを跨いだ時に「このキャラがあのキャラなのか?」という整合性が取れないといことに気づいて合点がいった。状況説明が如何に大事かを理解させられた。
なんというか、今回の問題はページをバラバラにして「正しい並びに直して下さい」と言われて「このページはどのページの続きかがぱっと見でわからない」や、人と話をする時に「相手も知っているだろう」って話し始めた結果、意思疎通が上手く取れないって感じの問題なのかなぁって思った。絵も言語も同じ「誰かに何かを伝えるためのコミュニケーションツール」なわけで、きちんと説明しなければ相手には伝わらないよなぁって思った。反省だね。