10話4ページ目
4ページ目が描き終わったので書き出し。
原稿
はじめに
今回のページではキャラデザについて考えようと思った。理由としては背景が少なくキャラクターがメインのページだから。また、ここまでざっくりとしたキャラデザで進めていて、引きの構図で小さく描く時は困らないんだけどアップで大きくキャラを描く時になると悩むので、その辺をクリアにしようと思った。
コマ
コマごとに気になったことの書き出し。
1コマ目
役割としては前のページ(3p)の続きであることを伝えつつ、回想による状況説明。
このコマは主人公と回想の2つの要素が同居している。主人公については前のページ(3p)最後のコマでも苦しんだように煽りの構図。描いていて顔が横に膨れているのが気になった。それは、リアルの人と同じように目と耳の間に余白を取ったことで起きた。漫画はデフォルメ表現で目などを強調して描く都合、同じように余白をとってしまうと強調した分横に膨れる。なので、目と耳の余白を詰めたら良い感じになった。
回想部分については、横向きの男の子で苦戦したが背筋を伸ばし体前面を弓のように逸らせる描き方で描いたらしっくりきた。主人公についても目を正円で描いたら認識がしづらかったので、縦長の円で描いたらしっくりきた。これは、「目」を「目」として認識させるために、上瞼と下瞼を縦長の円で繋げたことで認識がしやすくなったのかなぁって思う。
ペン入れは悩んだ。他のコマでも感じたのだが「どうやって描くのが正解なんだろうか?」という問題にハマり、とりあえず一度ペン入れをし、その後何が違和感を感じさせるのか?と言語化して対処した。
ペン入れの素人臭さ
ある程度満足する下描きが描けたが、どのようにペン入れをすれば良いかわからなかった。掘り下げると「どうすればプロのように描けるんだろうか?」って部分で躓いてたみたい。というのも、なんか僕の描く絵って素人っぽいんだよね。だから、そこをどうすればプロっぽくなるのか?って悩んでたみたい。
で、考えた結果、合理性を絵に落とし込むことでプロの絵に近づけることが可能なのかなぁって思った。例えば、このコマには主人公の顔が大きくコマの右側にあるわけだけど、髪の毛と背景がべた塗りでいまいち認識がしづらかった。なので、髪の毛にハイライトを入れてみたら「これは髪の毛です」って髪が認識がしやすくなり「その下にあるのは顔です」という具合に顔が認識しやすくなった。
また、回想シーンの主人公と男の子に関しては「ここに主人公と男の子がいる」という存在を伝えるために輪郭を強調するなど、合理性を持って描くようにしたらしっくりきた。
という具合に、合理性をペン入れに落とし込むことがしっくりくるペン入れで、プロがやっている事なんじゃないかって思った。確かに、素人臭さが出る時って「なんとなく」描いている時が多いい気がする。仕事をしててもクライアントに説明できないモノを作ってもしっくりこないわけで、きちんと説明ができるように作るのが大事なのかなぁって思う。(もしくは、Amazonのロゴのように説明しなくても伝わるようデザインに落とし込む。これが漫画における目指すべき方向性なのかもしれない)
気になった点
気になった点としては、髪の毛のハイライトが適当過ぎるのと、回想のキャラの内側の表情などがよく見えない点。髪の毛のハイライトは「髪の毛だよ」ということを伝えることしか考えておらず、どこから光が当たっているのかを意識出来ていないからそう感じたんだと思う。顔の表情に関しては、キャラが小さく顔の余白が少ないことで潰れて見えることが原因なんだと思う。この辺はもっとデフォルメ表現で崩したほうが良いと思った(ただ、デフォルメの描き方よくわかってない…)。また、回想の背景は描き直した方が良かったかもしれない。元々背景が無かったんだけど「あった方がいいんじゃね?」って適当に描いて、そこまで重要ではないからそのままにした。反省。
後は、上にも書いたが回想の主人公の目を正円から縦長の目に修正した。正円だと「目」を「目」だと認識がしづらかったから。また、縦長の目で上瞼と下瞼を繋げたら「目」と認識しやすくなった。これは、リアルの人間の目がそういうものだからなのかなぁって思う。けど、目の周りに余白をきちんと用意できれば上瞼と下瞼が繋がっていなくても「目」と認識はできる。今回の場合は、その余白が足りなかったから正円の目だと駄目だったのかなぁって思う。
1.5コマ目
このコマは、1コマ目と2コマ目を繋げるためのコマ。コマとして用意するほどのコマではなかったので浮かせた。
下描きはなんか良い感じの表情が描けた。ただ、小さいコマなのでデフォルメ表現したかったかな。でも、ペン入れでなんか良い感じで描けたからとりあえずいっかってことでそのままにした。
ヨレヨレの下瞼
ペン入れはこのコマを一番最初に行った。小さいコマで全体に対しての影響が少なく描き始めとしては良いと思ったから。それでも一度は描き直した。というのも、髪の毛がべた塗りで視線がそちらに流れてしまい「目」が目立たなかったから。描き直しする時は、特に下瞼の線を綺麗な線からヨレヨレの線に変更したらなんかしっくりきた。「髪の毛→目→下瞼」と視線が流れる時に、綺麗に下瞼を描いてしまうとそのまま視線が落ちるが、ヨレヨレにすると「ん?」って立ち止まる感じが出た。だから、しっくりきたのかなぁって思う。
綺麗な線の対となる汚い線を使うことで、強調表現に似た効果を発揮したのかなぁって思う。
視線誘導
視線誘導の観点で見るとこのコマは結構微妙なんじゃないかって思う。理由としては、主人公が左下を向いてしまっているから。本当であれば右下を向かせたかったんだけど、1コマ目の主人公が右半身見切れているわけで、1.5コマ目で右半身を出すって不自然に感じた。だから今のような状態になっているわけだけど、1.5コマ→2コマ目の視線誘導的にはだいぶ変化が激しくなってしまい不自然さがあるのかなぁって感じる。ただ、「チラッ」というオノマトペが存在するので、それへの視線誘導だと考えるとそこまで違和感はないのかもしれない。
何が正解なんだろうか?
このコマ(1.5コマ)に関して腑に落ちてはないんだけど、妙にしっくりする感じがあるんだよね。デフォルメで描くのが正しいって思っているのに、今のリアル寄りの絵がしっくり来てしまっている。これは、デフォルメ側の答えを僕自身が持ち合わせていないことも原因なんだと思う。というのも、デフォルメ表現あまりしたことがなく「どう描けば正解なのかがわからない」ってのがある。答えがわからない中、リアル寄りでそれっぽくかけた。じゃあ、このままでいっか。って流れになったのかなぁって思う。あとは、そこまで重要でもないしなぁ…。とりあえず、デフォルメ表現は少しづつ意識して行こうと思う。
2コマ目
役割としては、主人公と男の子の温度差を表現するコマ。そのため、リアル寄りの男の子とデフォルメ表現の主人公で対比を表してみた。
最初に書いた通り、今回のページではキャラデザ周りを意識していて、このコマではキャラデザを頑張ってみた。その結果、「こいつ誰?」って感じる男の子が出来た。また、デフォルメ表現をあまりしたことがないことで主人公のデフォルメ表現に結構手こずった。
ペン入れに関しては、ここが一番修正が多いい。理由としては、プロっぽい絵ってどうやって描けるんだろう?やデフォルメ表現の主人公の表現方法がわからないとかで躓いた。
デフォルメ表現
このコマは主人公にデフォルメががっつり効いてるんだけど、デフォルメでの表現をどうすればいいのかわからなくて何度も描き直した。特にデフォルメかけると下あごがメッチャ長くなって、そこが結構気になった。下あごの首までのカーブが長いと感じた。あと、ペン入れでの線の太さとか。
男の子
男の子のキャラデザは描いてて「こいつ誰?」って凄い感じた。ツンツンヘアーで今まで描いてたのに、ここではふんわりヘアーだから違和感を感じるのも当然なんだと思う。ただ、感情で髪質が変わるってのは面白いって思った。主人公といる時はふんわりヘアーで、それ以外はツンツンヘアーって具合に心理描写部分を髪の毛で表現をするってのはわかりやすいし、ハリネズミみたいなキャラというキャラ付けの観点で面白いと思った。そういう意味ではキャラデザ成功なんだと思う。
ただ、髪の毛の描きこみが気になった。というのも、髪の毛エリア全部に髪の毛を描き込むと「うるさい」と感じたり、髪の毛として認識がしづらいと感じる。これは、次のコマを描いている時にも感じ、次のコマでは髪の毛をしっかり描き込まず余白を設けたら多少が改善が見られたので、線の多さが問題なのかもしれない。
髪の毛を描く時は必要箇所部分に髪の毛を描いて、線の数を減らしたり、余白を作った方が認識しやすいのかなぁって思った。
エフェクト
男の子の心理描写を表現するために、男の子が輝いて(嬉しそうに)見えるような集中線を用意した。ただ、「ぱぁあああ」って感じのオノマトペが無いと、なんの集中線かがわかりづらいのと、集中線自体も中心近くは短く、広がるに連れて長くなるみたいな工夫があると良い感じになるって思った。たぶん、光源から離れれば離れる程光が当たる面が少なくなり影が伸びる(認識しやすい)って合理性がそう感じさせているのかなぁって思う。こういうエフェクトにも合理性を落とし込むとそれっぽくなるのかなぁって思った。
3コマ目
このコマの役割としては状況を整えること。現在の状況を伝えるためのコマなので、引きの構図で背景と人物を描いている。
下描きでは構図で結構悩んだ。先に人物を描いたのもあって、実際に背景がどのように映るか?ってカメラワーク部分で悩んだ。一応、俯瞰の図を描いて考えたりしたんだけど、イメージがつかなかったのでラフで人物全身と床を描いて、そこからパースを引いて背景(木)のアタリを取り、その後大きさを合わせて背景描いた。
ペン入れでは、このコマの役割的に人物も背景もそこまで重要ではないので、全体的に強弱をつけないように描いた。
何を目立たせたいのか?
主人公をペン入れしていて、表情が認識しづらいのが気になった。なんでかを考えると目の線の太さと輪郭の線の太さが同じ太さに見え、「目(表情)」ではなく「顔」として認識していたからっポイ。なので、輪郭の線の太さを細くしたら良い感じになった。
これは、1コマ目と同じで主人公の髪の毛にハイライトを付けたら、「これは髪の毛です、そしてその下にあるのは顔です」って感じで視線がスムーズに流れるのと同じで、情報を足す(引く)ことで、任意の場所を目立たせることができるという事なのかなぁって思った。
ただ、デザインでも足すのは簡単だけど引くのは大変と聞くし、可能な限りシンプル(少ない線数)にして、目立たせたいモノが目立つよう心掛けていた方が良いのかなぁって思った。
余白
男の子に関しては、前のコマ(2コマ目)と同じようにフワフワヘアーで描いたんだけど、髪の毛の内側の描き込みが多いいと「髪の毛」であると認識がしづらく何度か描き直した。結果的に、髪の毛エリア全てに描き込まずに上部分に余白を設けたら「髪の毛」であると認識がしやすくなった気がする。2コマ目も同じように毛量が多いいと感じているから、余白を設けたほうがいいのかなぁって思った。
4コマ目
役割としては、次のページへの誘導。
ここは、下描きを修正してない。人物の顔などが入ってこないから、最初の下描きのままペン入れに入った。
ペン入れでは、どういう風に描けば「手」であると伝わるのかを考えながら描いた。
強調表現
手しか映っていないコマなので、どういう風に描くのが正解なのか?って部分で少し考えた。というのも、手を強調するために強弱をつけようにも手しか映っていないわけだから強調せずとも「手だよね」ってわかる。それに、手を強調するように描くと同時に手の周りの余白も強調されて「この余白はなんの余白なのか?」という説明をしないといけなくなる。だから、強調はしないけど、「手」であることを伝えないといけず、どう描けばいいのか?って悩んだ。
結果的に、手のシワを描いて対応した。なぜなら「これは手ですよ」と強調したかったから。ただ、手のシワも太く描くと悪目立ちするような感じがあった。特に関節部分。輪郭と同じ線の太さのサイズのペンで描いたのもあって、線が太くなり悪目立ちした。なので、細く描き直したらしっくり来るようになった。この現象に関しては、手についての知識が不足していることも原因なのかなぁって思う。また、知識はあってもそれを下描きの段階できちんと落とし込めていないため、シワを目立たせると「シワの位置がおかしくね?」って悪目立ちしちゃうんだと思う。
その他気になったこと
その他気になったことの書き出し。
ペン入れがしっくりこない
今回は凄いペン入れで悩んだ。というのも「どう描けば正解なのか?」というのが分からなかったから。なので、まずは一度適当にペン入れをし、それをベースに改めてペン入れをするようにした。今までペン入れで悩むことが少なかったので驚いた。
なんでそういった現象が起きたのかを考えると「どうやったらプロっぽく描けるのか?」って部分が気になっていたからみたい。僕の中に「どうやったらプロっぽく描けるのか?」の答えが無いから、試行錯誤をした結果起きた問題だとすると納得。
強弱
ペン入れで強弱を付ける時、余白も強調されると感じた。というのも、人物の輪郭を強調すると人物が目立つようになるわけだけど、同時にその周りにある余白も強調されるような印象を受けた。例えば、1コマ目の回想。ここはキャラの「存在」を強調するためにキャラを強調して描いたら、その周りの余白も強調され「この余白はなんなのか?」と気になり出した。なので「この余白は学校です」という風に説明すると違和感が無くなった。そういう、何かを強調するとその周りも自然と強調されてしまうのかなぁって思った。
ガチャガチャ
今回のページは色々と試しすぎてページ全体がガチャガチャしている印象がある。なんというか、それぞれのコマに意図はあるんだけど、それらが上手くかみ合っていない感じ。ただ、「慣れ」の問題でもある気がする。なのでそのうち改善すると思う。
意識することが大事
キャラデザもプロっぽい描き方も最初は上手く行かないが、意識し出すと徐々に良くなる感じがある。背景や人体の描き方とかも最初と比べるとだいぶ改善しているし、そういう意識をするってのが大事なのかなぁって思った。
終わりに
今回のページではキャラデザについて考えようと思っていたんだけど、「プロっぽく描くためにはどうすればいいのか?」という方がメインテーマになってしまった。とはいえ、プロっぽく見えるよう合理性を絵に落とし込んだ延長線上に僕の目指しているキャラデザがある気がした。だから、視点が違うだけで見ているモノは同じなのかなぁって感じた。