10話5ページ目
10話5ページ目が描き終わったので書き出し。
原稿
最初に
最初に感じた事の書き出し。
ネーム
このページの1コマ目が手を払いのけるアクションシーンから始まるのがちょっと気になった。けど、下描きやペン入れをしたら気にならなくなった。なんでかを考えると、集中線の存在なのかなぁって思う。というのも、ネームの段階では集中線がほぼなく「人物 == 背景」という関係性だった。けど、ペン入れをした後は集中線がきちんと働き「人物 > 背景」という関係性になった。そういう見せたいもの(人物)に視線が流れるようになったことで違和感が無くなったのかなぁって思う。
あと、詰め詰めなのが気になった。「手を払いのけられて凹む男の子」と「手を繋いで何かに気付く主人公」という伝えたいことを1つのページに詰め込んでいる感じがそう感じさせたんだと思う。これに関してはペン入れ後も違和感として残っている。たぶん、左下にある5.5コマ目の「とりあえず置きました」感が原因。なので、2ページに分けて余裕を持ち、きちんとコマ枠に汲みこむなどして描いた方が良かったのかなぁって思う。
下描き
下描きは、なんかペンが進まなかったわ。理由としては、キャラデザが決まって無かったからみたい。と言うのも僕は描きながらキャラクターを調整していて、少しづつ形になってきてはいるけどまだ「納得するようなキャラクター」は作れていない。で、「なぜ、納得していないのか?」って部分がわからず、その納得していないモノを基準に下描きできず、「どうやって描けばいいんだろうか?」って悩んだからペンが進まなかったっぽい。
なので、3コマ目の大ゴマの男の子をとりあえず確定させ、それを基準にしたら描きやすくなった。あとは、単純に人体やデフォルメの描き方とかで悩んでいたみたい。例えば、1コマ目のアクションシーンをどう描いたらいいのか?とか、2コマ目の斜め後ろの主人公や5コマ目のデフォルメの主人公ってどう描けばいいのか?って感じ。とりあえず、3コマ目が確定したら進み始めたので3コマ目が一番の問題だったっぽい。まぁ大ゴマだしね。
コマ
コマごとに気になった事の書き出し。
1コマ目
役割としては、主人公が驚いて手を払いのける動作を伝える役割。なので、主人公の表情が目立つように描いた。表現としては結構腑に落ちている。ただ、ペン入れすると腕を払いのける動作の補助線とかが服と被って分かり辛いと感じた。けど、「バッ」というオノマトペがあることで動作がきちんと伝わる。また、腕を物理的に上に上げているため「あ、払いのける動作をしているのかな」と伝わり、そこまで大きな問題ではないのかなぁって思った。
また、ここで重要なのは主人公の動作。だから、背景が邪魔になるんじゃないかって背景を描くことをためらった。けど、集中線があることで思ったより背景が気にならないって感じる。視線誘導をする上で集中線は優秀だなぁって思った。
2コマ目
ここは1コマ目の動作後の余韻を演出し、3コマ目(オチ)への間を作るのが目的。なので、「空気感(雰囲気)」を伝えるために空が映る構図にしているっぽい。なんか空が映っていると「空気感を見せたいんだろうなぁー」って感じる。
気になった点としては、前のコマ(1コマ目)と2コマ目のアイレベルは揃えた方が良いんじゃないかって部分。というのも、1コマ目で主人公が驚いて、2コマ目で男の子が驚く(呆然とする)という2人の対比を描く目的があって、対比を演出するならアイレベルは揃えた方がいいんじゃね?カメラワーク的には平行移動の方がいいんじゃね?って感じたからそう感じたんだと思う。
ただ、対比より「空気感」を優先した方が3コマ目のオチが際立つって判断があったからアイレベルを別にしたのかなぁって思う。それに、「(1コマ目)驚く表情→(2コマ目)呆然という表情→(3コマ目)泣きそうな表情」という感じで、全部表情に注目しちゃうと変化として弱いって感じる。3コマ目を目立たせようと思うと、一度視線を表情から外した方が合理的かなって思う。
あとは、主人公の体の捻り部分が結構良い感じで描けたかなぁって感じている。パースを意識し箱のアタリを描いたり中心線を描いたりして体を捻らせた。ペン入れした時も、べた塗りやトーン処理が多いのもあってか良い感じになった。その反面、男の子はべたなしなので薄くなってしまったと感じる。この辺は課題かなぁ。
背景に関してはなんか適当になった。人物と空が重要だったのでそれ以外の「木」が適当。ただ、木々に関しては1コマ目と比べて描き込まないようにしたことで樹冠部分に余白が生まれ、人物と空を良い感じで仕切ってる(区切っている)と感じた。何が重要かを考えて、余白を上手く作れた例なのかなぁって思った。それに、背景と人物が重なる時って重なる部分の背景を塗りつぶすので、そういう意味でも正しい描き方なのかなぁって思う。
3コマ目
このコマは、このページで一番重要なコマ。なので上をぶち抜いた。絶望という表情を伝える事が目的。
下描きをする際には、プロの作品や絶望の表情などを参考に描いた。なので割とそれっぽくなったかなぁって感じる。なんか主人公とは逆で、男の子に関しては徐々にキャラクターデザインが固まって来ているって感じる。やっぱり男性キャラだからなのかなぁ?男性キャラって適当に描いてもそれっぽくなるんだよね。ただ、そういう意味だとモブの女性キャラも適当なのにそれっぽくなる。とすると、主人公という天上天下唯我独尊的な存在故に天上天下唯我独尊感を出そうとしているから難しいのかもしれん。
で、男の子のペン入れでは髪の毛部分を気を付けた。と言うのも、線が多くなり過ぎるとうるさく感じるから。見せたいのは表情で、そこに視線が流れるように髪の毛が悪目立ちしないよう意識した。あと、目の眼球部分の輪郭を涙目感出すために歪ませるかフリーハンドの正円にするかで悩んだ。結果的に、輪郭を涙目にすると「目」と認識がし辛かったので円にした。それに、オノマトペとして「あわわわわ(ヨッシー)」入れたら、あわわわわしているんだなぁって伝わり、「目」もあわわわわしているんだなぁって伝わる気がしたので輪郭を円にして「目だよー」って伝えることを第一にした。オノマトペ優秀っすわ。
なんというか、キャラデザを結構意識させられたコマ。
4コマ目
ここは手を繋ぐという行為を伝えるコマ。それ以上でもなければそれ以下でもないって感じ。
ここは悩まなかったかなぁ。一応、主人公の方が若干手を大きく、男の子の方を小さくするって感じの意識はしたけど、一度の下描きと一度のペン入れでサクサク進んだ。ただ、ペン入れは少し考えて描いた。3コマ目の男の子の髪の毛を描いている時の描き方がしっくり来ていて、その描き方で手も描いたら良い感じになった。感覚的なことで説明が難しいんだけど、描く時に少し引き(コマ全体を見るイメージ)で描いたらいい感じだった。たぶん、髪の毛も手も重要じゃないから緊張せずに描けたということかもしれない。また、キレイに描くんじゃなくて汚くキレイに描くってのを意識した。
背景に関しては、白色だと余白が気になるので下向きの効果線を加えた。3コマ目と被るので気になったけど、3コマ目の方はグラデーション付きという違いがあるからそこまで違和感はないんじゃないかって思う。あと、「ぎゅっ」ってオノマトペ追加した。なんというか、セリフや絵だけだと手を繋いでいる感じが出なかった。なので「ぎゅっ」させた。
5コマ目
このコマは手を繋いでいる二人を描写するのが目的。「手を繋いだよー」ってのを伝えることが目的だから、背景はどうでも良かった。だからフリーハンドで描こうと思ったんだけど「なぜ、どうでもいいのか?」を言語化できなかったから定規使って描いた。で、案の定違和感。定規を使ったことで学校が「(チープな)学校です」って主張してくるのが違和感を感じる原因っぽい。ただ、木々に関しては超適当に描いたけど良い感じになった。木の幹をぼかすような感じで描いたんだよね。しかも、前後の木々で幹の線が重なっているのにそこまで違和感なかった。これは、ぼかして描いたことで「ぼかし+ぼかし=ぼかし」と変化が無いからなのかなぁって思う。また、ぼかしていることで「重要な情報じゃない」って脳が認識したから気にならないんじゃないかって思う。なので、学校に関してもフリーハンドで描いて重要な情報じゃないって伝えればよかった。ただ、下描きが既にフリーハンドで、パース周りが滅茶苦茶だったのでパース定規を使わないと駄目だった。というのもフリーハンドで描けなかった理由(パースおかしくなっちゃうし)。下描きはパース定規で引かないと駄目っすね。
あと、構図が気に食わないわ。手を繋ぐ2人にフォーカスし過ぎてて構図が適当になってしまった。また、手前の2人が大きすぎるって感じるし、背景も大きい(近い)って感じる。どちゃくそ反省点だわ。というか、どうすればよかったんだろう?デフォルメ表現をするって漠然と考えていたけど、中途半端なデフォルメだもんなぁ。今後の課題かなぁ…
5.5コマ目
このコマは主人公が何かに気づいて次のページに興味を引かせるためのコマ…なんだけど邪魔じゃね?って感じて悩んだ。というのも「ここにある必要とは?」って感じる。ただ、次のページの先頭に入れるのも展開的におかしい(急すぎる)ということでここにいれた。ありなしだと「あった方が良い」って感じるんだけど、ここに必要か?って考えると微妙じゃね?って感じの違和感がある。また、きちんとコマ割りに組むほどでもないって感じる。だから、どうすればええねん状態。
そういう、「とりあえず置いた」って妥協案的な部分が気になっている。けど、必要なコマなんだよなぁ(不思議)。コマも矩形の中に人物を置いただけってのも問題なのかなぁって感じる。たぶん、コマ割りの段階で組みこまれたって感じじゃない後付け感が気になっているんだと思う。キチンと「最初の設計通りです」って感じがあればそこまで気にならなかったのかなぁって印象。もしくは、コマ枠の線の太さとか、コマ枠間の距離とかも影響しているのかもしれない。他の作品を読んでいて「僕の漫画の枠線太すぎ…」感じるし、その辺の調整次第でも何とかなりそう。
ペン入れはこのコマから始めたんだけど、周りが下描き状態で目立たないから、最初はべた塗りの目にした。けど、全部のコマのペン入れ終わり、改めてみるとべた塗りの目に違和感を感じたので今の目に変更した。なんというか、ペン入れの正解って単体で見た時と全体で見た時で変わるんだなぁって思った。
後は、背景が真っ白だと余白部分が気になるので横線のグラデーションを描いた。不穏な空気感も若干演出できているかなぁって思う。
その他
その他気づいたことの書き出し。
プロっぽさ
今回は「どうしたらプロっぽく描けるんだろう?」って部分で凄い悩んだ。そのせいで、下描きやペン入れに中々入れなかった。下描きに関しては、最初に描いた通りキャラデザの問題も絡んでいたんだけど、ペン入れに関しては「プロっぽいペン入れとはどうすればいいのか?」って部分で凄い苦戦した。
だから、影響範囲の少ない5.5コマ目からペン入れを始めたんだけど、2日くらい試行錯誤をしたのにしっくりこなかった。また、上にも描いた通り一度はべた塗りの目で納得し全体のペン入れをした後に再度見直すと違和感を感じ今の目に修正している。と言う具合にペン入れの評価は変わる。なので、ペン入れに関しては全体を通して見ないと駄目で、プロっぽいペン入れとはコマ単位ではなく、ページ全体を通しての見え方を指すのかなぁって思った。
それに、プロの作家さんは納期に追われていて今の僕みたいに1つのコマに何時間何日とかけているわけではない。今の僕って細かく描き過ぎ・気にし過ぎていたりしていて(1コマに)集中し過ぎって感じる。そういう点でも、プロっぽくないのかもしれない。なので、コマ単位で描き方に悩むんじゃなくて、時間をかけずにさっさと描く方が結果的にプロっぽくなるのかなぁって思った。
色々とこだわるのは良いことだとは思うが、こだわった結果大きく結果が変わるってのもあまり感じられないので、ドンドン描き進め作画スピードを上げてしまってもいいのかなぁって思い始めた。もちろん許容できる範囲のクオリティは維持しつつね。
終わりに
今回は、ちょっとプロっぽさに気を取られて、若干雑になってしまったかなぁって感じる。特に、最後の方のコマが雑になっていると感じる。言語化しても粗さを感じるので次からは気を付けたいかなぁって思う。とは言え、ずっと校門前のシーンなので描き慣れて来たって感じる。おかげで、男の子に関してはキャラクターが固まり始め解像度が高くなっている。後半に男の子の大ゴマが待っているから、この段階で固まってくれていると助かるね。
あとは、ドンドン作画を進めたいって感じるかなぁ。今回のペン入れで人物の方に関してはだいぶペン入れに困らない感じがある。けど、背景の方がちょっと気になるので、そっちの方を次は何とかしたいかなぁ。ちょうど次のページも背景があるのでそこで考えようと思う。