10話14ページ目
10話14ページ目が描き終わったので書き出し。
原稿

ネーム
ネームに関してはなんとなく考えてたんだけど、具体的には決まってなかった。というのも、こういうシリアスな状況を描くのが初めてでどう描いたらいいかわからなかったから。なので、ネームを描いている時も「未来の僕がなんとかするだろう」って考えるのを放棄してた。
で、実際にこのページにたどり着いて思ったんだけど、前のページが確定していないと描きづらいって感じた。シリアスな状況が続いていて、その空気感を途切れさせないためには前のページを踏まえて描くのが重要だった。だから、このページ以前が確定してないと駄目だったみたい。
とはいえ、白紙で進めるわけには行かないからとりあえずネームは描いてた。3コマ構成で全部横長のコマで縦に3コマ並ぶようなコマ割り。1コマ目右に主人公、2コマ目左に男の子、3コマ目に背景だけのフェードアウト用のコマって感じ。
下描きをする時に改めてそのネームを読み返してみて「前のページと被るな」って思った。前のページが正面のコマでこのページの1~2コマ目も正面のコマって感じで、本当にネームは適当だったんだなぁって思った。
まぁ、それだけわからなかったって事なのかなぁって思う。とりあえず修正して今の状態に持っていったんだけど、気を付けたこととしてはカメラワーク。1コマ目~3コマ目にかけて上から滑空して上昇するって感じのカメラワークしている。コマの流れとしてはスムーズなのかなぁって思う。
だとしたら、3コマ目はもっと校門側からカメラ回さないと駄目だったわ…
コマ
コマごとに気になったことの書き出し。
1コマ目
1コマ目で気になったことの書き出し。
役割
役割としては状況説明。前のページがキャラだけのコマということもあって「どこにいるの?」ってのを伝えるのが一番の目的。だから、キャラが地面に立っている事が伝わる俯瞰の構図。ただ、俯瞰は決まってたんだけど、どの位置からカメラを回すかってのは決まってなかったからだいぶジュゲムして、最終的に今の構図になった。
今の構図に決める際に、ジュゲムが桜の木に突っ込むことにならないか?って悩んだんだけど、いっそのこと突っ込んじゃうかってことで突っ込ませて桜の木の中からカメラに回すことにした。桜感出るので状況説明としては良い反面、なんかポジティブなニュアンスが乗るのが気になった。
というのも、手前に桜の花びらとかが来るわけで、こういう表現って何かポジティブなニュアンスを出したい時に使うイメージなんだよね。けど、このコマの2人はネガティブな気持ちでいるわけで相反する表現が気になった。
けど、描き上げて見てそこまでポジティブな印象は受けないかな。なんでかって考えると、俯いているからだと思う。もし、2人が上を向いているのであれば、手前の桜の花はポジティブなニュアンスが出るけど、俯いているから「背景の1つ」として捉えて、そこに何か意味があるとは思わないのかもしれない。
特に、キャラ達の視線の向きが桜を向いていないのが大きい。もし、桜の木を見ているのであれば、読者自身も自身が桜の木を見る時をイメージしポジティブな印象を感じると思う。けど、今回の主人公と男の子は下を向いているわけで、桜の木の下で下を向くイメージをする。それはネガティブな印象。
って感じで、キャラが何を見ているか?どうしているか?次第で、無意識にそれを自身に重ねてイメージをするんじゃないかって思った。だから思ったよりポジティブ感が出ないとすると腑に落ちる。
まぁ、この辺は人それぞれなのかもしれない。桜の木を見て「この木にロープ掛けて首吊ったら気持ち良さそうだなー」って感じる人がこのコマを見たら、また別の印象感じるかもだし。
下描き
下描きでは桜の比率とか悩まされた。というのも、こういう手前に何かがあるコマってどういう風に表現すればいいかわからん。特に、どの程度桜の花びらとかで埋めればいいのか?って迷った。
とりあえず、左は桜の木本体があるので桜で埋める。けど、芝生なんかは見えてて欲しいから芝生が映る分は残して、右側上下は行き止まり(フレーム)の役割で少量の桜を配置。ただ、ペン入れして思ったけど右下の床の比率がちょっと多かったかもしれないって思った。
キャラに関しては、クリスタの3D人形使ったわ。というのも、主人公が頭を下げているんだけどさ、俯瞰の構図もあってどう描けばいいかわからなかったから。なので、3D人形を頭下げさせて、パース上に置いて、それを参考に頭下げている主人公描いた。けど、それを踏まえても頭下げているかわかんねぇわ。単純に構図とポーズの相性が悪い。
キャラに関してはそこまで重要な要素じゃないからか、かなり適当にペン入れしても気にならなかったわ。たぶん、このコマにおいては全体の雰囲気が重要だからなんだろうね。
ペン入れ
ペン入れは手前の桜がマジで大変だった。単純に数があるから時間がかかった。
しかも、こういう表現をやったことがなく完成イメージが湧かないので一度適当に描いたらマジで駄目だった。手前にあるのとシリアスパートなのもあって、リアリティが必要って感じたので何度も描き直した。
で、それっぽく描けるようになったんだけど、今度は個々の桜の花が薄く認識がしづらかったから輪郭を調整したり、内側の線は細くするって感じで試行錯誤した。それらが終わった後は手前の桜と奥の背景(地面)を分かりやすく分けるために手前の桜(群)の輪郭を太くしたり、桜感がないので花びら散らしたりって試行錯誤した。
マジで桜は大変だった。
キャラは上にも書いた通り重要じゃないから適当。一応パースが効いている感じを出すために立体感出るように影つけたりした。
最後に、床のレンガ模様の比率の調整も試行錯誤した。というのも桜の密度が少なく、床のレンガ模様が思ったより比率が多く目立つ感覚を感じたから。目立たせたいのはキャラクター達なので、キャラクターが目立つように床の模様を消したりしてみたんだけど、なんか「レンガ模様が途中で途切れてる」感?まだら禿げ感が出て気になったので、キャラクターの足元の床だけを消して余白を作ったらしっくりきた。
これはちょっと驚いた。だって、「キャラクター達がいる」って情報を伝えたいのに、そのキャラクター達が立っている足元の情報を消すって「どこにいるの?」ってなるじゃん。けど、床の比率が多く無意識に「レンガ模様の地面の上にいる」って感じさせるからか、キャラクター達の足元が消えても気にならなかった。
また、余白があると「この余白ってなんだ?」って気になる効果があって、キャラクター達の周りに余白を設けることで余白が気になり「あ、キャラクター達がいることを表すための余白か」って感じで説明できるからしっくり来るんだと思う。
なので、余白に関してはテキストの下からキャラクターの足元という形で設けてみた。上手く機能しているかはわからないけど視線誘導を狙っているって感じ。
2コマ目
2コマ目で気になったことの書き出し。
役割
ここはキャラ単体で「首を横に振る」男の子を描写するのが目的。けど、シリアスパートなのでオノマトペ使いたくないんだよね。なので、絵で首を振っている描写が必要。
視線誘導の方で、キャラを上枠線ぶち抜いて1コマ目に被せるかどうか悩んだ。というのも、キャラが左に寄っていて右が丸々空いてるから気になって視線がそこに流れるのを防ぎたかった。なので、キャラをコマ枠ぶち抜いて1コマ目の桜に被せることで、視線が右に流れないようにしようと思った。けど、そんなにキャラを目立たせたいわけではないので違和感を感じ辞めた。なんというか、ネガティブな表現なので目立たせたくないって感じ。
キャラ
キャラは単体のコマだったんだけど、男の子の髪の毛をどうするか悩んだ。というのも、描き込み過ぎると違和感だし、デフォルメだと違和感って感じ。しかもキャラ単体のコマなので、キャラでこのコマを持たせないといけないって部分で悩んだ。色々と試行錯誤をして1コマ目と同じで輪郭を太く、内側の線は細くって感じで調整した。
また、動作についても悩んだ。首を振る動作を表現したいんだけどさ、オノマトペで「フルフル」みたいなのを入れたくなかったんだよね。だから、絵と効果線だけでどうやって表現するかって悩んだわ。
また、俯いている感じが出なかったからペン入れで調整したり、口を足したりした。
桜
右側が丸々余白になってしまうと、視線が「この余白なんだ?」って気になり向かってしまうので、桜の花びら舞わせる事にした。けど、その花びらの描き方でだいぶ試行錯誤をした。
最初は普通にペンで桜の花びらを描いたんだけど、線でしっかり描くと桜の花びらをしっかりと認識できてしまい「これは桜の花びらか?」って疑問に感じ、リアリティが必要になった。また、花びらが「舞っている」というリアリティも必要になって、どういう風に表現したらいいのか?って悩んだ。
何度も試行錯誤しても納得いかないので、線じゃなくてトーンで表現をするって方法を取ってみたんだけど、それも微妙だった。他に、花びらを塗りつぶしのトーンで表現すると「これはなんだ?花びら?」って認識し辛い違和感が出るし、少し前のページで使ったトーンで花びらを表現するって表現だとポジティブ感が出て微妙って感じで、めっちゃ悩んだ。
最終的には今のぼかすって表現がしっくりきた。
なんでぼかす表現が良いって感じたかというと、遠近感なんじゃないかなぁって思う。というのも、シリアスパートでリアリティが必要なわけで、花びらをぼかすことで奥行きが出て、その奥行きの中で男の子にピントが合っているって表現のリアルさ?が良かったんかなぁって思う。
ここの表現は14ページが描き終わってアップロードする時に気になり調整を始めたんだけど、2日くらい悩まされた。
ただ、ぼかすってやり方はいいなぁって思ったわ。なんか僕らしいって言うか、奥行きという表現の幅が増えるって点でいいなぁって感じた。
3コマ目
3コマ目で気になったことの書き出し。
苦しみ
ここはマジで苦しんだ。というのも、今までってキャラを中心に描いて来たわけなんだけど、ここってキャラいないし背景しかないんだよね。しかも、シリアスパート最後の締めのコマだし大ゴマというのもあって適当に書けない。そういう、初めてだらけで「どう描いたらいいのかわからん」って部分で凄い苦しんだ。
やりたいこととしては、テキスト「さようなら」が空にあって、その下に街並みと学校の桜と花びらが空に舞っている描写。だから別ファイルを用意して、アイレベルとかパースを決めて、映らない校門とかも描いてって感じで調整が本当に大変だった。
一番大変だったのは電柱かなぁ。というのも、今までって電柱適当だったんだよね。そんなにスポットが当たらない部分だったし…。けど、このコマって街並みを表現しなくちゃいけないし、電柱が中心に来るような構図なので適当に描けない。なので、youtubeとかで電柱の動画みたり、グーグルマップとかで実際の電柱とかを見て描いた。すっごいストレスだった。
街並みも大変だった。こういう街並みだけのコマって描いた事が無くて、どう描いたらいいのか?って部分でペンがめっちゃ止まった。ただ、一度描いたら後はそれを調整するって感じなので、最初だけ苦しんで、その後はそこそこ苦しんだ。
また、手前の桜の木も苦しんだ。ただ、電柱や街並みと比べると何度か描いているのもあるので、それらと比べるとそうでもないんだけど、シリアスパート最後のコマということもあってリアリティが必要でさ、そのリアリティを出すために今までの大雑把な桜の木の樹冠の描き方だと駄目だったわ。今まではフリーハンドで描いてたんだけど、リアリティ(細かさ)が必要だったからランダムブラシ的なの使って、それを1px拡張して樹冠の線作った。
あとは空かな。今までこんなに空の比率の多いいコマを描いたことがないからどういう風に描けばいいかって悩んだ。ただ、悩んだけどテキストを上に重ねるってのもあって結構適当でもなんとかなっちゃったわ。
気をつけたこと
描いてて気を付けたこととしては、空と街並みのコントラストが大事だからか、境界線(輪郭)周りはしっかりと強調して描くみたいな部分は気を付けた。
あとは濃淡かな。建物の影に塗りつぶし(べた塗り)や線で影を表現するかどうか悩んだんだけど、建物にそういうコントラストを付けると建物が悪目立ちして、空と街並みのコントラストが目立たち辛いと感じたので薄いトーンで影を付けた。
なんというか、空(トーン)と街並み(白色)って感じでコントラストを付けたいのに、そこにべた塗りとか線の影が入ってくると街並み(白)の邪魔になるって感じ。だから、影はトーンで表現した。
反省
反省点で言うと電柱の位置とか高さはもうちょい配慮できたら良かったかなぁって思う。というのも空と街並みをきちんと分けたくて、電柱が空に被るのが嫌だったんだよね。なので、本来であればもうちょい電柱の高さを伸ばしたかったんだけど、それをすると電柱が空と被り悪目立ちするので電柱は本来より低く表現した。
もし、もう少し高くするならアイレベルをもうちょい上に上げるみたいな必要があるんだけど、それをすると桜の木が映らない高さになるよなぁーって感じで、電柱じゃなくて全体的な構図の反省点かな。
あと、背景が左側に寄っている構図なんだけど、本当であれば右側に寄りたかった。けど、このページが右側のページなのと、角(枠線)に桜の木を置きたかったから今の構図になった。
で、桜の木から花びらが舞っているようにしたかったから、左から右上に向かって風が吹いているように花びらや雲を調整しているんだけど、前のページとかだと逆向きに風が吹いているんだよね。そういうズレは反省点。思っている以上に後悔がある。
その他
その他気になったこと。
桜の花
1コマ目で桜の木の中からのアングルで桜の枝と花を描いているからか、2コマ目で桜の花びらをぼかしても「桜の花びら」って認識できる感じがあった。
たぶん、1コマ目で桜の花を印象づけない別の構図だった場合、2コマ目の桜の花に対する印象が変わるんじゃないかって感じる。それもあって、こういう桜の花が目立つ構図がしっくりきたのかなぁって思った。
マジできつかった
このページはマジでストレスだった。だから現実逃避したくて仕方がなかったし、内なる人間が「やりたくない」って駄々こねてマジで大変だった。
しかもただ五月蠅いんじゃなくて、シリアスパートの終わりのページでラストスパートをかけないといけない強制力もあってなお五月蠅いって感じ。例えるなら、30年ニートを続けた50代ニートを働かせるレベルの難しさがあった。もうちょいで定年で働かなくて済みそうな逃げ切り態勢に入っているのに、働かされるって感覚。だから内なるニートが「やりたくない」ってマジで五月蠅かった。
それに僕、ラストスパート苦手なんだよね。持久走とかマラソン大会でもゴール前は力が抜けてラストスパートかけられないタイプ。心だけが先にゴールしちゃう感じ。だから本当に大変だった。
特に、最初がダメだったわ。このページの表現ってマジで過去にやったことがない事ばかりでさ、イメージができないのよ。だから、ゴール直前なんだけどゴールテープは見えないって感じで「ゴールどこやねん!」ってイライラもやばかった。
だから、描き始めるのも大変だった。過去一苦しんだ。
他のページとの違い
このページって、なんか今までにない別の何かが必要って感じの違和感があった。なんというか、今までのページでは気にならなかったけど、このページではめっちゃ気になるって感じ。
なんでかって考えると、背景がメインのページだからっぽい。2コマ目にはキャラがメインのコマがあるんだけど、1コマと3コマ目では背景がメイン。
そして、背景→キャラ→背景という感じでコマの遷移が発生しているんだけどさ、こういうコマの流れがたぶん初めてなんだよね。キャラじゃなくて背景を見せるためのページって役割の違いが違和感の正体だとすると納得かなぁ。
言語化
なんかやたらと言語化がしづらい感覚がある。上にも書いたように「やったことがない」ってのもあるんだけど、次のページを現在進行形で進めてても感じる。
なんでかって考えると、ストレスっぽいわ。別の日記で書いているんだけどさ、睡眠の質が悪くてストレスによる病気発症してんだわ。その辺が影響しているっぽい。
ちょうどこのページがすっごいストレスだったんだけど、睡眠でもストレス感じててブレインフォグ的な症状引き起こしてたみたい。だから、睡眠問題を解消したら解消した。睡眠の質が下がって酸素が足りなかったんかなぁ?明らかに思考が浅く、深く潜れないって感覚があった。
終わりに
今回のページは過去一で大変だった。マジで大変だった。ぶっ殺したいくらい大変だった。
描くのも大変だったんだけど、描きたくない自分との戦いが一番大変だったわ。特に、描いたことがないから「描けないかもしれない」って行動しない理由がすっげぇ邪魔だった。
描くしかねぇってわかっているし、理性では「描く」ってなっているのに本能が「描きたくないでござる!」ってクッソ足引っ張ってくる。だから、マジで内なるニートぶっ殺したくなった。
人間って謎よな。一番の敵が自分自身(内なる人間)って感じで足引っ張ってくる。
とはいえ、このページはネームの時から難しいって感じてたので仕方がないのかなぁとは思う。ただ、もうちょい気楽に描けるようにはなりたい。
とりあえず今回の経験で、だいぶ漫画に関してはストレスが無くなったかもしれない。流石にこれ以上難しいページはない。それだけ大変なページだった。