10話19ページ
10話19ページ目が描き終わったので書き出し。
原稿

最初に
このページの役割としては、話を締めるのが目的。次の話へ興味を持ってもらうのが目的のページ。
コマ
コマごとに書き出し。
1コマ目
役割としては、叔父さんが帰ってくること+場所(状況)説明のコマ。主人公を通して関係性も説明。
構図としては、このコマは叔父さん単体でも、テキストとして「叔父さん」という文言を入れれば伝わるのかなぁって思った(主人公がいなくてもよい?)。それに次のコマで明確に主人公と叔父さんが会話するシーンがあるので、わざわざここでツーショットにする必要性はないんじゃないか?って思うのだが、「玄関」という状況説明のコマを最初に入れておきたいんだよね。2コマ目は玄関感ないし。なので、叔父さんを目立たせるより状況説明をした方が良いと思いこの構図にした。
下描きの方はアングルが普通なので特に困るようなことは無かった。けど、ペン入れするとキャラが潰れるわ。特に主人公の方を下描き通りにペン入れをしたらすっごい分かりづらい感じになった。だからペン入れの方で表情の方の調整を何度か行った。
一応、前回から眉毛と被る前髪はべた塗りじゃなくて濃い目のトーンにするという対処をしているんだけど、今回はそもそものキャラが小さく、顔周りに線が密集して潰れているって感じ。
特に目の描き方が下描きをそのままペン入れすると「目」って伝わり辛かった。なので、丸とか楕円とか2重丸みたいなのを試したんだけどいまいちで、最終的には「線」で表現するようにしたらいい感じになった。
あと、口に関しても「口」って伝わり辛かったので修正した。「口の輪郭+べた塗り(口の中)+ベロ(白塗り余白)」だと、パーツ単体で見た時に「口?」って感じになる。特に今回みたいな小さく描く時だと尚更。また、べた塗りの髪の毛とべた塗りの口が顔内にあると、その間にある「目」に視線が流れ辛い感覚があってダメだった。なので、口に関しては「歯+口の中(べた)+ベロ(トーン)」という形できちんと「口」と伝わるように調整をした。
背景に関しては、線だけだと微妙だったので影足した。
2コマ目
役割としては会話による状況説明。必死の主人公と穏やかな叔父さんとの対比が目的。
構図は少し悩んだ。というのも、奥にいるノッポの足元辺りからカメラを回して、手前に不審な人物、奥の玄関前に2人がいるって構図も考えた。けど、それをしようと思うと焦る主人公と落ち着いている叔父さんとの対比が難しいんだよね。状況説明としては正しいんだけど、キャラの方の状況説明としては正しくないから今の構図にした。
下描きとしては、主人公がなんか可愛いらしくなった。なんでかって考えると、顔のバランスと短い腕が子供を連想させるからなんじゃないかって思う。初めてかも、自分で描いたキャラが可愛いって感じたの。手足短くが大事なのかも知らん。あとは、顔の方のバランスとかも良さげ。ただ、状況的に可愛いって印象なんだよね。驚いているって状況だから可愛いって面がある気がした。言語化がちょいムズイ。
ペン入れでは、個々のパーツが「それ」と分かるように調整することを意識した。1コマ目でも書いたけど、キャラが小さいとパーツが密集して何が何だかわからんくなる。だから、目は「目」、口は「口」って分かるように丁寧に描くことを意識した。だからか、キャラ周りでは特に修正無かった。
強いて言うなら、背後からの光の描写をどうするかは悩んだ。というのもドアを開けているわけで、光が入ってくる描写をしたいんだよね。で、髪の毛の一部をべた塗りからトーンに置き換えて光が反射しているって描写を考えたけど、眉毛が隠れないようにするためにその描写使っているんだよね。2つの描写を1つの表現で対応するのは難しいから、ホワイトを使って光が当たっている感じを出した。
背景に関しては適当かなぁ。そんなに重要じゃないし。ただ、単線だと奥行がわからなかったので、線を重ねて影っぽいグラデーション作って表現した。
あ、少し気になった点で白い縁取り辞めた。背景と被る時ってキャラの周りに白い縁取りをするんだけど、日差しが当たっている描写と縁取りがぶつかる感じがあったので無くした(1コマ目も同じかな)。
3コマ目
役割としては、泥棒の正体を明かすコマ。
構図は悩んだ。というのも、奥のリビングのドアは映したかったのと、玄関真正面からカメラを回すのではなく、若干角度がついた(壁にめり込む)構図にする必要があったから。また、手前のキャラと被らないようするために、壁やドアにめり込んで構図を見つけるのが大変だった。
最初は主人公にアイレベルを合わせてたんだけど、そうするとアイレベルが下過ぎて天井が目立つ感じになったので、アイレベルは叔父さんに合わせた。
下描きでは主人公の方が若干デフォルメ表現になったのがしっくりきて、そのまま使った。一応、主人公は泥棒だと思っているから、緊迫した表情にした方が良いのかなぁって思ってたけど、適当に描いた下描きの間抜け面がいい感じだったので、それをそのまま使った。
奥のノッポの方はどういうポーズを取るのが正解か?って点で四苦八苦した。特に、正面よりの構図なので、前傾姿勢などのポーズに角度が付けずらく動作が伝わり辛かった所で悩んだ。
構図で気になる点を上げると主人公が指さしている描写が画角の問題で映せない点。
ペン入れでは、丁寧に描くことを心掛けたから特に描くことはないかなぁ。背景で奥行が分かりづらかったので影をつけたのと、最初は薄暗さをトーングラデーションで付けてたんだけど、外から入る光の描写をする時にグラデーションだと暗くなり過ぎたり、途切れたりで光の描写が伝わり辛かったので単色のトーンを使って光が入っている描写をするようにしてみた。
あと、このコマって最初は横長のコマにするつもりだったんだよね。けど、キャラの表情が分かりづらかったので4~5コマ目を追加した。そのせいでコマが小さくなって、ネームの時にあったインパクトが薄れているかもしれない。なんか目立たせたいコマなのに目立たないって感じがある。もう少し手前のキャラクターを大きくするみたいな対処方法は必要だったのかもしれない。
4-5コマ目
このコマ達はキャラクターの表情を見せるためのコマ。
当初はなかったんだけど、全体的にキャラクターが小さく、表情がきちんとわかるコマが無かったので追加した。
下描きとしては、ここはキャラデザのテストのコマなので少し気合を入れた。けど、ペン入れでだいぶ修正した。
ペン入れでは、目の方の表現の修正が特に多かった。というのも、下描き通りに描くと「目」って感じがしない目になったから。なんかまとまり感がない「目」になったので、まとまりを意識して雑にそれっぽく描いたら「目」って伝わる目になった。
多分、パーツの「繋がり」が大事なのかなぁって感じる。例えば、目のアイラインとかも線は途切れているけど、見えない補助線で繋がっているって感じが必要で、そういう「繋がり」が大事って話。
繋がり
繋がりについてもう少し深掘り。
下描きでは違和感がなかったけど、ペン入れをすると違和感出てくるってことがそこそこある。で、この「繋がり」の問題だったんじゃないかって思う。というのも、下描きの時って線が多くなるわけだけど、それら多くの線が「補助線」のような役割をして、それを「それ」だと認識するための手助けをしていたんじゃないかって思うんだよね。なんというか、脳内補完が働くって感じ。
けど、ペン入れをすると補助線が無くなって1本の線で表現をしないといけないわけで、脳内補完が働かなくなる。だから、下描きでは認識できてたモノがペン入れになると認識できなくなるのかなぁって思う。
あとは、境界線周りのグラデーションとかも関係してそう。下描き時には、複数の線で1本の線を描く都合、境界周りがぼやける。抽象的でより脳内補完が働きやすい状況になるのかなぁって思った。
で、実際繋がりを意識して目を描いてみた。そしたら、目尻や目頭で上瞼と下瞼が途切れていても、「目」だと認識しやすくなった。また、髪の毛に関しても輪郭周りをぼかす(線を数本足す)と髪の毛感が出た。という具合に、繋がりや境界線をぼかすと「それ」っぽくできるのかなぁって思った。
光の描写
ノッポの方で光が当たっている描写をする際、べた塗りの髪の毛の一部(前面)をトーンに置き換えてみたらいい感じになった。元々は主人公の前髪で眉毛潰れる問題への対処方法として使ってたんだけど、光の描写としても優秀なんだなぁって分かって前のコマでも使ってみた。
ただ、上でも描いたけど「眉毛と被って潰れないようにするため」と「光の描写をするため」って2つの役割を持たせようとすると違和感しかねぇわ。主人公のコマで試したら違和感だった。1つの描写で1つの表現は守らないと駄目かも。
というか、主人公の場合は視線誘導の効果があるのかもしれない。眉毛と被って潰れる問題を解決するついでに主人公が左に顔を向ける「視線の流れ」を表現してみたらいい感じになったからそう感じた(主人公の眉毛辺りから左に向かってトーンが続いているやつ)
6コマ目
役割としてはフェードアウト。マンション内から外観に移動することでお終いを表現。
ここは結構適当…なんだけど、ペン入れ後にちょっと調整をした。というのも、マンションの比率が多すぎたから全体的に右にずらして調整した。また、右から左向かって奥行が出る構図で、手前側のマンションのディテールがひどかったから隠す理由もあってずらした(特に窓の描写がやばかった)。
しかし、適当に描くと階数ごとのバランスが悪くなるね。なんかマンションの階ごとのサイズ(ベランダ)とか窓の見切れ方が異なるんよ。ちゃんと考えて描かないと駄目だって思ったわ。
また、マンションの窓に関しても、太い一本線で「これは窓」って表現しようと思ったんだけど、手前になると違和感バリバリで気になったから複数の線で窓を構築することに調整した。
それ以外だと、なんとなく町並みはフリーハンドで描いても良かったのかなぁって思った。なんかフリーハンド特有の暖かさ?が欲しいって感じた。夕日と近いからかな?暖色系のイメージとかぼやけてる感を出したかったってのはありそう。
あとは夕空としてトーングラデーションを置いたんだけど、町並みとトーングラデーションの間に白い余白が無いと夕空感でなかったわ。その余白を作るためにグラデーションの起点を上に上げた。
理想を言えばマンションや町並みは左に向かうにつれて日差しで薄くなるみたいな事が出来ればよかったなぁって感じ。
まぁ、初めてだからこんなもんかなぁって感じ。
全体
全体的にいい感じに描けたんじゃないかなぁって思う。今できることはやり切ったって印象。
このページは全体的に描きやすさがあったかなぁ。やることとしては決まっているし、唯一悩んだのは追加の4~5コマ目くらいって感じ。
良かった点としては、最後の最後でキャラデザ周りを前進させることができたのは大きいかも。特に、目が重要ってわかったり、下描きとペン入れのズレまわりを言語化できたのは大きかった。
ちょっと気になった点を上げると、3コマ目→5コマ目の主人公への繋がりは気になったかも。というのも、3コマ目では半目で、5コマ目では目を見開いているって違いが繋がりとして微妙だから。まぁ、そんなに気になるところではないんだけど、合わせるなら半目だったのかなぁって思う。だって、目を見開くって驚き過ぎだから。
あとは、全体的に「口」の方を調整したのは良かったかもしれない。特に、主人公って髪の毛がべた塗りで、目がべた塗りじゃなく線で構成されているからか口の方にべた塗りがあると「髪の毛→口」って形で目をすっ飛ばして視線が流れちゃうんだよね。けど、口の方のべた塗りを減らした今の口だと「髪の毛→目→口」って形で視線が流れやすくなったって感じ。口のクオリティを上げて口が悪目立ちしなくなったってことかな?
その他
その他気になったこと。
キャラ
キャラに関しては、大人の男性の描き方がしっくりこなかったわ。ノッポと叔父さんが大人っぽい男性の描き方をする必要があるんだけど微妙って感じた。このページでは雰囲気でなんとか押し通したって感じ。
特に、久しぶりに描くというのもあって、以前描いた話を見ながら描いたんだけどさ、今より前の方がしっくりくる感じすらあった。この辺は描き方の違いかなぁ?前は輪郭とかクソ適当で抽象的だから脳内補完が働いているのかもしれない。また、頭の中のモノをそのまま描いている感じだからイメージ通りなのかもしらん。
あとは、単純に今の描き方って型にハマっている感じがあって違和感あるんだよね。前の方はそういう型がない時のモノだから、そういう意味でも前の方が自由で良いって感じるのかもしれない。
キャラの違い
下描きとペン入れでずれが起きてたって今回わかったわけだけど、キャラデザでもそれに似たずれが起きているのかなぁって思った。
というのも、下描きは抽象的でペン入れすると具体的。下描き時には複数の線で補助線や境界線のグラデーションを使って表現するけど、ペン入れでは1つの線で表現する。キャラデザでも9話以前は抽象的だったけど、今は具体的になってる(リアリティがある)。なんか似ている気がする。
じゃあ、なんでこういうズレが起きるんだろう?って考えるに、輪郭という具体的な「形」。型枠の有無なのかなぁって感じる。前までは型枠なかったけど今は型枠がある。そして、その型枠がイメージと違うのかもしれない。
とはいえ、主人公に関しても試行錯誤をして、比較的今はそれっぽくなってきた。結局のところ、トライ&エラーするしかないのかなぁって思った。
あと、共通している点で「魅力」が無いんだよね。型にハメてるのに魅力がないって、ただ堅苦しくなっているという話で、そりゃ微妙って感じるのも当然なのかなぁって思う。
その辺意識したいかなぁ。どうせ型に嵌めるなら魅力的な型にハメてーよなぁ。
認識
今回ページごとに試行錯誤をしながら描いているのもあって、ページごとにキャラが微妙に違ったりするんだけどさ、話を通して見ると思っているより気にならないのかなぁって思った。
なんでかって考えると、そこまでしっかりとキャラ(絵)を見ていないからなんだと思う。というのも、無料で見れるものだし見る分にはなんとなくキャラとかストーリー展開とかを脳内補完して見ているって話で、ぶっちゃけどうでもいいんだと思う。
極端な例を上げると、髪型が同じなら主人公をマッチョにしても問題無いんだと思う。話の流れとかからもなんとなくわかるっちゃわかるわけだし。もちろん「なんで急にマッチョになった?」って違和感は生じるけど、あくまでも極端な例。この辺を上手く使えば結構役に立つんじゃないかって思う。
ペン入れ
ペン入れしていて思ったけど、全体的なバランスは重要だわ。
というのも、3コマ目での天井の影とか6コマ目での屋上の格子とかが濃くて悪目立ちをするって現象が起きた。なので、線幅調整したらいい感じになった。なまじこのページは全体的に丁寧に描いてたのもあって、そういう線のバランスの崩れが現れるようになったのかなぁって思う。
これは、プラモデルで言うところのバリ取りに近いかも。せっかく綺麗に組み上げたのにバリ(出っ張り)ががあると気になって、せっかくのプラモデルの魅力が失われるって感じ。なので、バリ取りは大事。
終わりに
長かったわ。マジで1年かかるとは思わんかった。
ただ、色々と言語化できたので、最後の方は漫画っぽくはなっているんじゃないかって思う。なので、今回の経験を11話12話で活かしたいかな。
ただ、今回やってみて思ったけど流石に時間かけすぎだわ。気合入れ過ぎって言い換えても可。頑張って描いたけど、「とりあえず読めればよい」って感じるし、次からはその辺を意識してスピードを上げるようにしたいかなぁって感じ。